イントロダクション


司会:

山梨大学に今年度新設されました循環システム工学科の創設記念として、シンポジウムおよびパネルディスカッションを企画いたしました。
 現代社会が抱えるいろいろな問題がなぜ解決の糸口が見えないのか、それを考えていきたいと思います。皆様お手元に配らせていただきました資料ですが、本日のパネリスト3名の簡単なお話の要旨、循環システム工学科のパンフレット、循環システム工学科のスタッフの現状ないしアプローチのケースです。今回のパネルディスカッションに関するアンケートをご用意しました。
 それでは最初に、横河電機の甲府事業所長の石井さんに簡単にお話を頂きたいと思います。それではお願いいたします。

石井:

ただいまご紹介いただきました横河電機の石井でございます。というよりも、私は国母工業団地を代表いたしまして、今日はみなさんに国母工業団地での取り組みですね、特に循環型社会づくりという、そういう考え方に立って、ゼロエミッションという活動を展開しております。その辺を最初にご紹介をさせていただきます。
 ゼロエミッションという言葉ですが、だいぶ方々で使われるようになりました。もともとは国連大学の学長顧問だったグンター・パウリという人がこういう言葉を使ったんですが、みなさんのお手元にゼロエミッションとはという書いたものをお配りしております。その考え方は、廃棄物を無用なものとして捨てないで、それを有用なものとしてうまく使えば、それが有用な資源として次の産業に役立つ。それを繰り返していけば、ゴミは出ないんじゃないか、廃棄物ゼロの社会が作れる。ちょうど生態系で植物を草食動物が食べて、その草食動物を植物が食べて、それぞれが死んで、それがまた土に還って、そこからまた植物が生まれてという、ちょうど自然界における生態系の循環型の仕組みが、産業界の中でも廃棄物という形の中でうまく回るんじゃないか、こういう仕組みを考えたわけです。ですから、我々としてはそういった今まで廃棄物としていたものを、なんとか有用なものとして生かせないか、それを我々の中で十分に使うことによって、廃棄物をゼロにできないか、こういう取り組みを5年前から進めたと、このためにはいろいろな条件が必要になってきます。例えば、みんなの意識を高めないといけない。これは捨てるものを捨てないというわけですから、そのための分別体系がきちっとして、みんなに分別してもらう、そういう仕組み。これを徹底するためには教育も必要になってきます。マインドウエア、一方ではそういうことを可能にする技術ですね、ハードウエア、生ゴミを肥料にする、そういう技術。後はそれを可能にするいろりろな条件ですね、ソフトウエアと呼んでますが、物流の問題とかそういうものがあります。そういったものが整わないと実現できないということで、そういったことを踏まえて、5年間にいろいろと仕組みづくりを進めてきたということで、これを今日最初にご紹介を申し上げます。
 我々が5年前にこのスタートを切るときに、どういうことでこういうことを、特に廃棄物ということで関心を持ったか、我々工業団地としてですね。それにはいろいろ理由があります。もちろん地球環境がこれだけ破壊的な状況で進んでいるというそういう認識はもちろん各工業団地のメンバーにあったことは事実ですし、もうひとつ産業廃棄物の処分場、これが山梨県にはない。全て県外で処理されている。ところが県外の処分場も全国で後2年で満杯になる状況なんですね。ですから我々が県外に持ち出したくても県外でも受け入れてくれない、そういう状況がどんどん出てきているわけです。じゃ山梨でも作ればいいじゃないか、そうはいきませんね。ダイオキシン問題その他、そう簡単に処分場というものを作れる状況じゃないわけですね。そういうアレルギーといいますか、市民感情、これはもう当然なことだと思いますね。そういうことの中で、じゃ処分場がない中で、我々は今後この地で産業を続ける製作活動を進めることができるんだろうか、こういう危機感を持ったわけです。この廃棄物問題を我々の手で何とかできないか、ということで研究会が5年前に発足されました。
 最初に、我々の工業団地内から出てくる廃棄物にはどんなものがあるだろうかということで、全部各社から出してもらいまして、それを整理しました。なんと年間7400トン近くあるまである廃棄物を各社が出したわけです。これをなんとかしないといけないということになったわけですが、そこでやはり基本的なコンセプトを考えたんですね。それがレジメにもありますが、まずはそれぞれの会社が源流を削減する。我々のそれぞれの会社でそれぞれの廃棄物を減らすという、源流作戦といっているんですが、そういう努力をすることがまず先決ではないかということになりまして、これはある意味では設計まで変えて廃棄物が出ないような物づくりをするとか、または廃棄物が出ないような製品を作ればいいわけですね。そういうことで、まずは自分たちの会社の中でそういう問題に取り組みましょう、お互いにそういうのを交換しあいながら、どうしたら各社から廃棄物をなくすことができるのかということに取り組みましょう。これが第一の考え方だ、これなくしては次のステップに進めないということで、こういうことに取り組んできたわけですが、その一番の大事なことは、そういう仕組みを会社の中にきちっと確立することですね。その確立する上で一番有効なのが、ご存じのように国際規格であるISO14001番という国際規格を認証取得していく。それの要求事項の中にはきちっと廃棄物を減らさなければいけないという、そういう仕組みが確立されてますので、そういう仕組みの中で廃棄物を減らしていこうという運動を各社がやろうとしたわけです。その結果どうなったでしょうか。国母工業団地は23社が入居しておりますが、23社中、9社がすでに認証を取得しているんです。それぞれの企業がいかにそういう問題に向けて、なんとか自分たちから廃棄物を減らそうという、そういう取り組みに努力しているかがおわかりいただけると思いますが、そういう形で各社がまず始めた。これが源流削減です。
 次にそうはいっても廃棄物は出てまいります。どうしても廃棄物が出ない物を作りたいといっても各社からどうしてもでてくるんですね。これをお互いに共同で回収し、それを再利用する、または再資源化する、そういうシステムを作ろうじゃないか、それがわれわれが5年間に築き上げてきた共同のリサイクルシステムでございます。
 再資源化、再利用化できなくても、減量化できないかというのが、次の3つ目にあります。こういった再利用、再資源化できなくても、なんとか減量化するという道筋を、例えば脱水したり、圧縮したり、破砕したり、そういうことを通じて減量化することもできるわけです。そういう道筋もないかということも再度考えようということになっておりますが、いずれにしても、そういう取り組みを基本的な考え方としてまず打ち立てて、一歩一歩実現に向けて取り組んできたということでして、今から3年前に最初の取り組みが始まりました。
 それはまず23社に一番共通していて、しかも取り組みやすい、我々として一番身近なものとして一番簡単にできるものはないかということで取り組んだのが、紙類の共同リサイクルシステムです。今まで23社に例外なく、消却を持ってみんな燃やしていました。片っ端から燃やせるものは燃やすという考え方がありまして、そういうことで燃やしていたものを、燃やすことを止めて、これを資源化していこう、紙類の資源化、いろんな資源化の方策があるわけですが、その中で我々は再生紙として資源化する道をとりました。上質紙は上質紙、段ボールは段ボール、その他の紙類はトイレットペーパーにという形での分別をきちっとすることですね。分別をまず最初にして、それをそういう形にリサイクルするという仕組みですが、始めて簡単なように思っていたんですが、なかなかそうじゃないですね。この分別をするのがたいへんでして、紙といっても、今まで紙屑は全部丸めて捨てていたそういうことから、全部分けてもらうことになりますね。今言ったような段ボールと上質紙とその他の紙と、それ以外にも紙類という中にはセロテープとかラミネート紙とかプラスチックなど、そういったものが混在したらリサイクルにならないです。これをみんなきちっと分けてもらうことで始めてリサイクルの道ができるんです。そういう意味ではきちっと分別体系を作って、それを23社で働く人全員にきちっと周知する。そしてそれに協力してもらう。そこで始めてこの共同のリサイクルシステムが走ることになるわけです。それを3年前からスタートさせて、うまく軌道に乗りました。もう一つ大事のことは、リサイクルされたものを我々が使うということにおいて、始めて循環型のリサイクルシステムになる。リサイクルしたから後は知らないよということではなくて、我々が出したものが再生されてできあがったものを、もう一度使うという仕組みを作りました。特にトイレットペーパーですね。再生されたトイレットペーパーはなかなか市民権が得られないんですね。バージン紙より薄汚いとか、肌触りが悪いとかで、女性の方は特に嫌がるんですが、我々が積極的に使おう、ということで循環型の仕組みが回るんだということですね。そういう意味で市川大門にありますこううんどう生産に我々の出した紙が送られていますが、そこで作られたトイレットペーパーを工業団地内で積極的に購入してそれを使っています。そういう仕組みをスタートから作りだしたことは私たちはひと味違うと思っているんですが、いいことをやったと思っています。できるだけそういう形で、我々が大いに使うということが、今日のテーマの循環型の社会づくりのためにはどうしても必要だと私は思っています。
 そういうことでやった成果が、3年間の間に850トン紙を燃やさない。850トンといいますと、20年ものの木で換算すると約17,000本です。この木を伐採しないで済む。しかもその分を燃やさないで済んだということですね。これは大きな成果になると思います。たかが紙ですが、3年間みんなが努力すれば、なんと17,000本の木を苗木から植えて20年間育てるのはたいへんなことですね。これをみんなでやれば塵も積もってそういうこともできるということでして、我々としては成果を感じたわけです。
 そこで、タイムステップとして、昨年の1月から始めたのが、紙に継いで多い廃プラスチック類の共同リサイクルシステムです。廃プラスチックと木くず、それから一般ゴミといいまして紙に再生されないようなもので、例えばセロファンとか床を掃いて出るような紙屑などを円錐型の筒に入れまして圧縮しますと、廃プラスチックは圧縮熱で溶けて、固形燃料になります。今日持ってきてみなさんにご覧に入れようと思いまして、こういうものですね。遠くから見るときれいな木に見えますが、これもいろんなものが混じってますから汚いですが、こういうものになります。これが有効な燃料になります。石炭に変わる燃料になります。同じくらいなカロリーを持ちまして、セメント会社が有効に使ってます。ここからセメント会社に運ばれて、埼玉県に運ばれてます。これを作るためのプラントが必要になりますが、これは産業廃棄物処理業界の方々が我々の動きに協力して石和にこれを作るためのプラントを作ってくれました。そして我々の廃棄物が運ばれて、これが作られて、埼玉県に運ばれてセメント会社の燃料になっている、ということです。これもみなさんの協力、特に廃棄物処理業界の方々がいろいろと協力していただいて、これを作るために協同組合化をしていただいたり、そういう協力のもとにこのシステムが起動にうまく乗って現在に至っているということです。
 次に第3ステップをこの秋からスタートさせました。これは23社の内、13社が企業内に食堂を持っています。その食堂から出る生ゴミ、いわゆる残飯を共同でリサイクルしていこうという仕組みです。これにはこれを肥料化するためのプラントが必要になります。肥料化のためのプラント、コンポストといいますが、これを工業団地内に一つ設置しまして、そこに各社から食堂から出たものを毎日運んできてもらって、それが1週間経つと肥料になります。それを取り出したら、一宮の6軒の桃農家に供給しています。そこで有機栽培の桃を作ってもらおうということです。すでに実際に動きだしています。そこでできた桃はぜひ工業団地内で購入しようじゃないか、我々が大いに使おうじゃないか、お中元に使うのもいいし、単身赴任で来ている人がおみやげに持っていくのもいいし、食堂で食べるのもいいし、そういう形で大いに使おう。それが先ほどのトイレットペーパーじゃないですけど、我々が出した物で作られた物はまた戻るという循環型の仕組みじゃないかということで、こういった仕組みを研究した結果、この秋に桃農家との契約でそういうシステムが走り出したということです。
 ここまできまして、次は何をやるかということになるわけですが、おとといのニュースでみなさんもうご覧になって頂いていると思いますが、産官学のゼロエミッション推進研究会という組織の中で次のステップを検討してもらったんです。ということは、これはやはり技術的にさらに掘り下げていかなければならない問題があるということで、広域的な地域への広がりも含めた検討の課題であろうということから、昨年の9月のゼロエミッション推進研究会、産官学、我々と官が県の環境局とか工業技術センターとか環境科学研究所とか、それから学は山梨大学工学部鈴木先生のところ、さらには産業廃棄物処理業界の方にも入ってもらいました。そういうことでみんなで知恵を集めて、1年間検討してきた、その結果をニュースでも報道されたように、次のステップとして今こういうものをうまく工業団地内で使うという仕組みなんです。これを使って工業団地内で循環させて新しい何かを作り出そうという考え方、じゃこれをどうするか。実はこれを使って電気を作ろう。それからここから出てくる熱をうまく利用しようという仕組み。その前に、もしそのように使おうとすれば有害物を絶対出しちゃいけませんので、そういう意味で一番今の時代に進んだ技術として注目されているガス化溶融という装置を置きまして、そこから出る廃熱を利用して電気を起こし、そして廃熱を利用して新しい物を作ろうという仕組みです。新しいものとしてこれを作ろうとしています。それはパルプモールドといいますが、工業用の梱包材とか緩衝剤として今非常に注目されていまして、発泡スチロールに代わる新しい緩衝材として注目されているものです。これは簡単なものです。紙を水に溶かして成形しただけです。卵を置く卵ポットを想定してもらえばいいんですが、ただ非常に細かい成形加工が必要になりますし、工業用として使いますので付加価値がついているんですが、そういうものです。これも実は古紙からできてます。そういう意味では我々が出す紙がまた新しい製品として出来上がる。それを作るための電気と熱、これはこういうものからでる。これだけではありませんが、工業団地内に残っているいろいろな廃棄物、カロリーを持っているものはみんなガス化溶融という施設の中でばいかして、そこから出る熱がうまく利用できるということです。こういった仕組みを1年間掛けて研究した結果を昨日鈴木先生から転用していただいて、そして我々のスタッフが取り組もうということになりました。そういうことで、我々としてはこれを第4ステップと位置づけ、第5ステップに残りの廃酸、廃アルカリというのがありますが、1、2社からでる廃棄物ですが、これは最後のものとして、ここまでやれば全体の95%以上が工業団地から廃棄物としては出なくなる。すべてそれが工業団地で使われるということ、これは実際に我々の製品に使っているものでして、工業団地で使われるということ、今はこれは茨城や岐阜から購入していますがこんどはこれを作る基地が工業団地内に出来るということになるわけです。そういう形でゼロエミッションを完結されようということで、最後の仕上げといいますか、次なるゼロに向けてなんとか現在がんばっているということです。今後ともみなさんの御協力をお願いしたいと思います。

司会:

石井さんには民間の立場から取り組みの実践のお話をいただきました。次に行政の立場から県の環境局長の三井さんにお話をいただきます。「環境首都・山梨」の実現にむけて、お願いいたします。

三井:

ご紹介いただきました三井です。本日は山梨大学工学部循環システム工学科が設立をされまして、その創設記念の催しの中へお呼びを頂きましてありがとうございます。また心からお祝いを申し上げます。今、石井さんの方からもお話がありましたが、やはり江戸時代にも理想的な循環システムがあったという話を聞いていますが、現在、非常に科学が進歩した時代に、その発達した科学システムの中でいかに合理的に廃棄物を処理していくか、これは江戸時代と違いまして、出てくる量も、人間の数も違っているという状況の中で、合理的な方法、それが今日お話として出てまいります循環システムということになろうと思いますが、いわゆる循環型社会、これができあがると一番理想的になるわけです。そういう話を行政の立場からお話しさせていただくわけですが、多少時間を頂きまして、せっかくの機会ですから、県の宣伝といいますか、全体の環境行政というものがどんな形で行われていて、本日ふれさせていただきますゴミの問題がどんな位置づけにあるか、というところで説明させていただきます。
 まず私どもが提唱しております、「環境首都・山梨」という話をさせていただきます。ご存じの通り、現在の知事が就任しましたのが平成3年です。その時点で全体的な計画としては、公住県計画というものを打ち出したわけですが、その公住県の最大の柱が「「環境首都・山梨」をうたいあげたわけです。その背景としましては、現在もそうですが、山梨県が自然に恵まれているということで、県内の80%近くが森林に囲まれているということ、さらにその中で県土からみまして30%くらいが国立公園を中心とする自然公園であるという背景の中で、やはり本県の特性である自然というものを大事にしながら、しかも住む人達が快適で幸せな生活を送れる必要がある、ということでございまして、平たくいいますと、県民の一人一人が環境保全の大切さを理解し、環境に優しい生活を実践するということで、豊かで自然の恩恵を受けながら、そういう環境の中で幸せな生活を送る、そういう社会の確立を目指すということですが、対象とするのは自然環境ばかりではないわけです。人間の生活には当然先ほどのお話の産業界を中心としまして、福祉の問題も、私たちの個々の生活も含めまして、全てが幸せになれるというねらいがあるわけです。そういう発想のもとに公住県を中心としました「環境首都・山梨」というものをまず組立をしたわけです。過去におきましては、ブラジルで行われました、アジアンダ21というのがございますが、そういう中でもやはり地球環境問題というものが中心としてうちあげられたという経過の中で、その当時とすれば画期的な発想ではなかったかなという見方をしています。
 問題はこれを実現することが難しいわけです。今まで体制を作るためにどんなことをやってきたかを、お話をさせていただきますと、まず、最初に一つの目標を明確にする意味で設定されましたのに、環境首都憲章というのがあります。これは項目をあげまして、県民として率先して行動していただくための規範を掲げたわけです。県民、事業者、我々行政、それぞれどういうことをやっていくかを憲章の中で定めてきました。平成6年になりまして、「環境首都・山梨」づくりプラン、これは県の全体をどういうふうな形で環境保全をしていくか、自然環境、水質汚濁などの生活環境、それから人の目に映る人文環境、景観等を中心としまして、目標を設定し、平成15年を目標として策定をしてあります。この中には、県内を8地域に分けまして、目標値の設定がされております。平成5年に庁内に「環境首都・山梨」づくり推進本部を設置しました。これは行動の中心としまして、知事を本部長に環境行政の重要事項を審議していただくという組織で、県庁全体の総合調整をするということで設置がされています。次に環境首都に向けて重点的な取り組みですが、ご存知の通り環境問題は幅が広いですので、その中で特徴的な事業を紹介させていただきますと、ひとつは環境科学研究所の設置です。これは自然と人との共生を図るということで、県民の環境に役立つような保全活動の実践ということで、内容としては研究をすることはもちろんですが、それ以外に環境教育機能、情報センター的な機能、そして大勢の方に集まっていただいて交流をするという交流機能、この4つをテーマとしまして環境科学研究所が設置されました。昨年春にスタートしたわけですが、一般の方でもたくさん利用していただいてますし、現在7万人くらいの方にご覧いただいている状況です。次に地味な活動ですが、環境保全活動の発展を図るための施策としまして、まず小中学校の生徒を中心に生涯学習を含めて地域における学習活動、環境教育の授業を充実される。それから今日お見えの方にも何人かにお願いしておりますが、環境アドバイザーとしての派遣指導、さらに自主的な環境保全補助ということで、多少のお金を差し上げて地域の活動を進めていただくということ。それから指導者が一つのきっかけとしていただくための手引書も作ってありますが、そのなかで、ここ1、2年大きな成果として私どもが考えておりますのは、「環境首都・山梨」パートナーシップという連絡会議があります。これはまったく自主的な活動をお願いする中で、企業を中心として現在500社前後の企業さんがそれぞれのセクションで連携をとっていただきまして、環境問題について、先ほどのゼロエミッションのような話も中心にしまして、環境を良くしていくということで御協力をいただいております。こういう企業とか個人とか地域の団体とか実践活動をやっていただいておりますが、これからも情報分担ですとかネットワークづくり、これらについても十分な支援をしてまいりたいと考えております。後変わったところでは、アデンダ21相模川、桂川事業というのがありますが、これは相模原水系の上流下流県ということで、交流を開始しました。これには環境庁と建設省のご協力をいただきまして、年に2回程ずつ民間レベルの交流を行い、お互い水質を保全するための事業という形で植林をしたり、ゴミを拾ったり、といったようなことから始めております。それからもう一つ、富士山、これは本県の代表的な観光地でもありますし、また自然の宝庫でもあるわけですが、これをなんとか守り、さらに全国運動まで発展させたいということで、さる18日に静岡県と共同で富士山憲章というのを制定をさせていただきまして、記念の式典をやったところですが、これにつきましては、今後全国運動にまで発展をさせたい。富士山をいかにして守るか、あるいは有効に利用していくかは、わたしどもだけではなくて、全国レベルの話で解決すべき部分がありますので、そんなふうな問題の対応も考えております。地球温暖化問題というのは非常に最大のテーマです。先ほどのお話もそれに繋がる部分ですが、地球をいかに守るか、当面はオゾン層の破壊対策、温暖化対策ということで、フロンの回収ですとか、排気ガス対策等に意を注いでるところです。最近の問題としまして、ダイオキシン、環境ホルモンの問題もでてきていますが、これらもこういった連携をしながら早急にある程度方向を出さなきゃいけない事業だろうと思います。後変わったところとしまして、山梨県の環境影響評価条例をこの春制定をされたわけですが、これらも、有効に使いながら環境の保全に勤めるということになると思います。私ども内部の話になりますが、先ほどもお話が出ましたからふれておきたいのは、オフィスアデンダ21やまなしというのを平成7年に策定をしまして、これが要するに県庁の中でゴミをいかに減らすか、それからエネルギーをいかに節約するか、という計画です。先ほどISOが出てまいりましたのが、次の年の平成8年ですから、1年ほど早くそういうものに手を着けて、県の職員それぞれ率先して行動指針をつくりましてやっているわけですが、ただ、現在検討しているのは、ISOに比べまして、ISOの場合には計画段階からきちんと目標値を設定して最後の評価に至るまでの組立があるわけですが、最後の評価の部分がいままで欠落しておりましたので、この辺を見直して、ISOのシステムに近づけるような形で、率先行動計画という形で検討をさせていただいておる段階です。こんなふうなことで、ちょっと時間をかけましたが、大雑把に申しまして、本県はいわゆる環境首都としましての、組立、体制を作って、実際にどんな事業をやっているかというふうな概略を申しましたわけです。
 そこで本日のテーマでございます、循環型の社会、これの本題に移らせていただきますが、まず、本県の環境の問題を眺めてみますと、悪い方の話で見ますと、河川の汚濁の70%が家庭排水である。あるいは大気汚染物質である窒素酸化物の8割が自動車の排気ガスである。それから地球温暖化の原因となっている二酸化炭素は車から54%、それから一般の家庭から15%が配付されている、という推計がされているわけですが、こういう形を見ますと、従来型の公害といわれるものが一方には加害者があり、一方には被害者もあるというものであったものが、最近は今の数字が示すとおり、加害者と被害者が交錯しまして、お互いが加害者であったり被害者であったりという状況があるわけです。これらをいかに解決するか、そのためには原因を追及しなければならないわけですが、基本的な問題は、先ほども申しましたとおり、大量生産、大量消費、そしてたくさん捨てる、というシステムのツケがここにきて回ってきているということになるわけです。最終的には廃棄物という形でそういうものが問題になってくるわけですし、本県の状況としましては、最終処分場もほとんど限界にきている、他県に持ち出しているという状況からしましても、早急にそういうものを解決していかなければならない状況に至るわけです。そこで、本県の廃棄物の状況を話させていただきますと、ご存じの通り、廃棄物には一般廃棄物、これは主に家庭から出ますごみを市町村が収集をしまして、いわゆる市町村の責任において処理される一般廃棄物、もう一つは産業界が産業活動によって排出する産業廃棄物の二つに分けられるわけです。県内の状況でそれをみますと、産業廃棄物の量は年間で約168万トンあるわけですが、そのうちの約半分が砂利採集などに伴ってでてきます汚泥です。それからその中の建築廃材とか廃プラスチックなどの産業廃棄物が84万ということで、後植物の残差というものもあるわけです。あるいは下水道の汚泥というものもあるわけですが、大雑把にいってだいたいそんな状況です。一方一般廃棄物ですが、人口が現在89万ありますが、88万時代のものですから、2年位前のデータですが、年間で266,000トンが収集されております。そして県内には各市町村が持っています焼却場が17カ所現在ありますので、そこで全部焼却処理をしているということです。平成7年度のリサイクル率をみますと、15.6%ということで、全国レベルで9.9%ですから、全国でみますと平成7年度にはかなりリサイクル率は高かったということになります。その266,000トンのゴミですが、最終的に資源化物として使われている物が44,160トンという状況です。灰として最終処分されるものが42,200トン、これは燃せば多少減量されますので、資源回収に回される物を除いて焼却されるということになっているわけです。
 廃棄物にまつわります行政の仕組みですが、これについては歴史的な問題はあるわけです。廃棄物処理法という法律はゴミという観点でしか捉えていません。しかもこれは衛生的に処理するという視点からでしか扱ってきていなかったものですから、ましてや資源として使おうという発想は今までなかったわけです。そういう状況ですから、処理の仕方としては、いわゆる焼却するか埋め立てるか、どちらかという進め方をしてきていまして、処理施設の整備と、処理施設というのは主として焼却場ですが、後は最終処分をする埋め立て地の確保、こういうことが最大の課題だったわけです。その後、まずリサイクル法が平成3年にでてきました。最終処分場もだんだん減ってくる、ゴミも資源として使わなければいけない、という問題がでてきまして、リサイクル法によって、使える物は使っていこうということになってきたわけです。もう一方の問題としては、大型の不法投棄というものがだいぶありまして、佐賀県の戸島ですとか福島県の炭坑の跡地へトリクロロエチレンのドラム缶を埋めたという話をきっかけにリサイクル法ができたわけです。そして平成4年になりまして、廃棄物処理法が改正になりまして、そこでようやく法律の中に排出を抑制しろ、さらに再生利用しなさいというものが入ってきまして、先ほどのリサイクル法と合わせまして、材料の方途を検討し始めたわけです。特にここで注目されるのは製造の段階から、いわゆるリサイクルしやすい設計にしなさいというような種類の指定がされるようになってきました。それから包装の容器リサイクルのための容器包装リサイクル法が平成9年にできました。これは分別収集が中心でして、現在7品目行われているわけですが、平成12年には12品目になるようです。さらに今検討されているのは廃可燃リサイクル法というのが平成13年につくりたいということで、テレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機という家電製品をいわゆるリサイクルしやすいものとして開発をするような義務づけがされるように聞いております。
 そんな状況でゴミの処理がされておるわけですが、本県の課題としましては、まず基本的な問題として、やはり10年前に比べて9%くらい昨年の段階でゴミの全量が増えている、それからダイオキシンの問題が発生してきている、これは昨年からです。それから最終処分場の確保、これは既存のものも後2年くらいでなくなるという課題を抱えていますので、そういうことを考えますと、その解決のためにはいろいろなことが考えられるわけですが、まず一つは公共関与の最終処分場、これは県としまして5カ所確保するという計画をつくりまして、現在第一次としまして明野村を候補地としてお願いをしている段階ですが、5カ所ほど計画をし、県独自で処分ができるような体制をとっていきたい。もう一方では廃棄物の資源化推進構想、これは昨年作ったわけですが、この中身としてはゴミの固形燃料化をするとか、あるいは生ゴミの堆肥化、ゴミ発電を進める、あるいは灰の溶融化施設を作る、これは構想です。具体的にはこれからということになります。もう一つはゴミ処理施設の広域化計画、これは現在策定を進めていますが、先ほど申しました現在17本県内では煙突があります。これをできれば3本くらいに将来はしていきたい。どういうことかと申しますと、まず集中して燃しますと24時間稼働で大量に燃せますし、ダイオキシン対策にもなる。当面はやはり100トンないし、200トンという大きな焼却炉で処理をしていくことがベターだと、当然これには集中すると地域の交通問題とか住民感情とか簡単にはいかないと思いますが、そんな構造を現在進めているところです。
 そんな前提の中で、いわゆる資源を循環させるための循環型社会の実現への課題ですが、これは一番いいのは先進例に学ぶことだと思います。ヨーロッパでは徹底したゴミの管理と分別と処理がされているということも聞いておりますし、国内におきましては東村山市とか山形県、あるいは鎌倉市、あるいは先ほどの国母工業団地の例もありますが、いろいろな形でリサイクルをしたり、あるいはもっと先のゼロエミッションという考え方もされておるということで、もちろん県としましても、そういうふうなシステムづくり、先ほど申しました資源化構想というのは一つはそんな考え方もあるわけですが、要は今まで企業の場合におきましては企業間で隙間があったものを、そういうところで廃棄物という物を通して隙間を埋めて、新しい産業を創設していこうという考え方があると同じように、やはり一般家庭を中心としました私たちが扱っています一般ゴミについても、やはりどこに隙間があって問題があるかということで、やはりその隙間をきちっと認識をしまして、それに埋め込みをしながら、逐次次へ次へと循環をしていくというか、取ってけるようなシステムを考えていかなければならないだろうと思います。特に先ほどのお話を聞いていて印象的だったのは、23ある企業のみなさんがそれぞれ会社だけではなくて、それぞれ職場に配置されている職員のみなさん一人一人がゼロエミッションという認識を持ってことに当たられる。その結果がすばらしい結果になってでてきたというお話がありました。やはり今おしゃられたような職員一人一人に該当するのが、私どもの立場とすれば、県民のみなさんお一人、お一人ということになると思いますが、どういうふうにこれからそれぞれの認識を持っていただくか、あるいは私どもも含めまして、そういうふうな物の考え方になっていただけるようなシステムを組んでいかなければならないだろうと考えております。
 最後に言いたいことは、やはり第一にゴミを出さないということ。それからゴミになるものを使わない。そして買わない、ゴミになる物は作らない、ということになろうと思いますが、そんなことを念頭におきながら、時間が非常にかかる私どもの仕事であることは承知しておりますが、遅滞することなく、一歩一歩進めてまいりたいと考えておることを申し上げまして、私の話を終わらせていただきます。

司会:

どうもありがとうございました。行政の立場からさまざまな県の取り組み、現状、課題、展望などについてお話しいただきました。次は大学の立場として何が言えるか、循環システム工学科の鈴木さんにお願いいたします。

鈴木:

本日は山梨大学でこういう企画をしたのは始めてではないかと思います。外へ出てきて、大学の中で討論会をすることは多いんですが、大学の外へでまして、企業の方、行政の方に直接呼びかけて、新しい循環型社会を作るために我々が何を目指しているのかをご理解いただきたいということで、企画いたしました。私が発起人ではありませんで、今日司会をしてくださった先生方を含めまして、現在、教官8名、来年4月には16名になりますが、全国から応募してくださった先生の選考が終わりまして、来年4月に16名のスタッフで再スタートする予定ですが、一度外へ出て、企業の方、行政の方、それから環境問題に関心をお持ちの方々に直接呼びかけてみようと、どの程度の人にお集まり下さるかまったく分かりませんでした。今日うちの学生が1年生が47名いますが、その学生はこちらへ出るようにいってありますが、それ以外はまったく力も何もないところで、ひょっとすると60名くらいかなと心配しておりましたが、これだけの方にお集まりいただいて、非常に心強く思っています。心強いというのはどういうことかというと、私、この3年間掛けて、今日はお手元に3枚綴りの資料が挟んでありますが、パネルディスカッションのための資料鈴木嘉彦と、私だけこんな資料を用意してたいへん申し訳ないんですが、石井さん非常にたくさんの資料をお持ち下さっていて、OHPで講演して下さる予定だったんですが、使えないということで口頭ということになってまことに申し訳ありませんでした。
 この資料の最後の5、6頁が、実は文部省を説得して循環システム工学科を設置してもらうために使った資料です。もちろんこれだけではありませんが、分厚い100頁の資料をつくっているわけですが、そのポイントは実は5、6頁の話です。どういうことかというと、先ほど話題にでましたが、地球というのはどこへいってもいわれることですが、物質的に閉じています。つまり回りが真空で物が出入りしません。その中でどうやって生きていくかというと、5頁に書いてあるように、植物と動物と微生物が炭酸ガスと水をうまく循環させることによって生きられる。エネルギーの元は何かというと、太陽の光ですよ、そこで水が非常に重要な働きをしている、というのが基本的なことです。これは生態学で既に早いこと分かっていたことですが、現在の社会はどうなっているかというと、6頁をご覧いただきたいんですが、現在の社会の問題はなぜこんなに環境破壊が進んでしまうか、それから今の大量生産、大量消費をすると21世紀の中頃には残念ですが、人類は生きられないかもしれない。なぜそうなるかというと、物質的閉鎖系の中で、現在の市場経済の社会がどういうことをやっているかというと、簡単にいうと、その図にありますように、家計と企業という二つの経済主体、お金を自由に使える経済主体がありまして、市場経済というのは、そのお金が市場を通して流れるわけです。上に書いてあるのが、生産用役市場、下に書いてあるのが消費財市場といって、つまり私も給料をもらっている人間ですから、生産用役市場を通して労働力を提供します。そうしますと、企業からお金をもらうわけです。この黒い、太い点線です、これがお金の流れです。企業は労働力を買って、それを賃金として払って、我々は所得を生産用役市場を通して手に入れる。手に入ったお金を今度は我々が一生懸命働いて作った物を消費財市場を通して購入するというわけです。そうしますと黒い点線を見ますと、お金はこの企業と家計の間を生産用役市場と消費財市場を通してぐるぐるまわるという仕組みです。これがいわゆる経済の循環といわれる話です。お金というのはいかに、日本の国が世界の国が豊かになるってことを、何を評価して豊かになるというかというと、黒い点線を太いパイプにすれば、みなさんお金がたくさん流れますよと、これが要するに現在の社会でいうところの豊かさの基準なんです。いかにこれを回すかということで、政府は2万円の商品券をばらまいてとにかく消費を起こそうとする、例えばそういうことを考えるわけです。ところが、もう一つ問題なのは物質の流れを考えてみます。細い線で書いてありますが、物質の流れを、この例は化石燃料ですが、上の方に化石燃料を掘り出してきて、原油にして石油製品に企業が変えて、市場でガソリンとして売って、我々がそれを購入します。物の流れはどうなっているかというと、化石燃料を地下から掘りだしてして、・・・・・・・
 みなさん非常に豊かな社会、物質的にも経済的にも豊かな社会が実現できる、それが要するに文部省を説得したときのはなしです。そんなことは現実的にできるのかということで、細い線であちらこちらに説明が入れてあるのは、それをなんとか新たに情報の流れを加えることによって、そういう物を実現しましょう。つまり、経済の循環、物質の循環、情報の循環、3つの循環を何とか組み合わせることによって、21世紀人類が生き残れる社会をつくりましょうといって、文部省に行って説明しまして、これならいいだろうといって、設置がこの4月に認められたのが循環システム工学科です。ですから、本学科の教官は生物学を専門にする人から、社会学を専門する人や、今度採用される人には経済学の先生とか、経営工学の先生とか、非常にバンドの広い先生方が集まってくれます。目的はそれぞれ従来の学問体系でいうとまったく別々の目標で研究してきたわけですが、それを循環型社会を実現するためにそれぞれの分野の人がどうやって協力したら、物の循環とお金の循環がちょうどうまく逆方向に回って、みなさんが21世紀生き残れるのか、そういう社会を提言していきたい、そういう社会に役立つ人材を養成していきたいというのが、循環型社会を目指した循環システム工学科の基本的な考え方です。これは非常にグローバルな話ですが、じゃあ山梨県をターゲットにして、考えたらどういうことになるかが、今日の主題ということですが、どういうふうに考えるかです。
 1頁目に戻っていただきますと、よく話しますが、左の方に書いてあるアイスクリームとホットコーヒーです。私の講演を聞いて下さった方はご存じだと思いますが、アイスクリームとホットコーヒーを部屋の中に置いておくと、アイスクリームは溶けてしまいますし、ホットコーヒーは冷めてしまいます。同じ部屋の中に座っているみなさんはなぜ体温が変化しないのかというと、生きているからです。生きているというのはどういうことかというと、外から必要なご飯を食べたり、呼吸をして、要らなくなった排泄物を捨てる、これが開放系であるから生きられる、元気だということです。右の方に書いてあるのが、27、8歳の男性が生きるのに1人どのくらい必要かというと、だいたい魚介類で96g、トータル摂取カロリー2800KCalくらいで炭酸ガスを910g出して、屎尿を1400gくらい出して生きている。こういう物の見方を山梨県という組織に当てはめてみて、生き続ける条件は何なのかを出せば、そうすれば山梨県が持続的に生き続ける可能性がでるというわけです。残念ながらこれまでの経済学はそういうものの見方をしていないんです。ここで申し上げたいのは、山梨をもし持続型の循環型社会にして21世紀に他の地域が生きられなくても山梨県の住民が生きられるようにするにはどうしたらいいかといったら、要するに山梨県を一つの単位としてみたときに、何がどれだけ必要で、どれだけ廃棄物がでる、それをどのように処理していくと、そういうことが可能なのかをみせるということなんです。その一つの例として、実は昨年来ずっと協力させていただいて、2日前にゼロエミッション研究会として発表させていただいた例が国母工業団地をゼロエミッションにするということで、これはあくまでも国母工業団地5500人の従業員であれだけの規模の一つの組織がそういう格好で持続可能な循環型社会になるにはどうすればいいのかという、現在出来る技術をもってしたらどれがベストかを一応結論づけたわけですが、国母工業団地さんだけ生き残ってもどうにもならない。大事なことは山梨県をどういう形で生き残すことができるのかをまず分析するということです。そのために何が必要かというと、その1頁の下の真ん中以降に書いてある、山梨県というのは元々回りが2000m級の山に囲まれていて、西には北岳、南には富士山があって、本来、今のような高速道路とか鉄道が通じなければ閉鎖型社会、地球のミニモデル、よく地球というのは回りが真空で物が出入りしません。それとまったく同じように、山梨というのは回りが3000m級の山に囲まれていて、物が出入りしない。だけれども非常に日照時間が長く、全国第4位の日照時間があって、雨の量もそこそこあって、なんといっても森林が78%ある。これだけの条件をもっている半閉鎖型の社会が循環型社会を作れないならば、残念ですが21世紀は人類は生き残ることはできないというのが私の個人的な考え方です。そういう考えの元にずっと文部省と交渉をしてきて、この4月に循環システム工学科が認められたわけです。それに賛同してくださっている非常に意欲的な先生が今学内から8人移って、新しい循環型社会を目指して、教育、研究にあたって下さっています。来年4月には16人になります。そういう人達が目指しているのは、例えばこれは私が考えていることですが、山梨という所をそういう意味で、いかに循環型社会に変えていくのか、残念ですが、現在のところそういうデータが、そういうものの見方で、県の環境局長さんがいらしているところであれですが、そういうものの見方で県というものを捉えたことがあるのかというと、残念だけと私はたぶんないだろうと思います。そうでない限り県が生き続けることはできない。それをみるために用意したのが、例えば3頁です。これは産業連関表というのがありまして、5年に1回作られた統計データですが、点線の枠が山梨県です。それで山梨県の外から物をどのくらい購入して、山梨県の外へどのくらい売っているかが分かるようなデータで、5年に1回やっているんです。国が中心にやる産業連関分析というのは5年に1回ありまして、一番新しい我々が手に入るデータで県のデータは1990年、これは1995年に発表になるんですが、上の段の数字がそれです。このようにお金がどのくらい出入りしているか。ところがこれは従来の経済分析なものですから、物の量での表現になっていない。ところがこれをもう少し見てみますと、2頁の真ん中のところを見ていただいて、山梨県を真ん中において、山梨県に外から物がどのくらい入ってきて、山梨県で加工を通して、生産品がどのくらい行われて、どのくらい外に物が売られているか、これが流れです。これも現在の経済学で作っている処理系ですから、何が足りないかというと廃棄物のことがまったくでてこない、こういう統計ですと。これが従来の統計のことです。ところがその下に書いてありますが、これは昨年産業連関分析学会で発表されたデータで、米印で著者を下を入れたつもりですが、印刷の都合で欠けてしまいましたが、静岡県立大学の先生が発表したデータですが、例えば、1億円物を生産すると、どのくらい産業廃棄物がでてくるかを、この産業連関表を使って分析した結果、例えば、電気機械工学でいいますと、1億円物を生産すると平均して汚泥が28.8トン、廃酸が1.9トンという格好で、必ず廃棄物が出てくるわけです。こういう問題を含めて、物がどれだけ入り、物がどれだけ出て、廃棄物がどれだけ出るのか、そのなかでいかに循環構造を山梨県としてつくるかということが、実は山梨県が生き残こる問題だというのが、私自身は主張しているところで、そういうことに我々山梨大学は全面的に協力していきたい。新学科創設に当たりまして、キャッチフレーズは「地方から地域連帯へ」、これが循環システム工学科が掲げたキャッチフレーズです。何かというと、これほど大きな課題、環境問題を改 善するというのは、実は明治維新、第二次世界大戦、これよりもっとたいへんな改革をしないと、人類は生き残れないと個人的には思っています。それをどうやったら生き残れる可能性に変えられるのかが、4頁を参考にしていただきたいのですが、これも産業連関表で、これ山梨県のデータです。物を生産する場合にしろ、経済学の用語ですと、物の生産とサービスの生産といって、具体的に品物を作る場合は、たとえば看護婦さんが働くとか、我々教師が働くようにサービスを生産する場合とあるわけですが、物を生産する場合が真ん中のところにありまして、山梨県90年生産額が3兆4670億円、山梨県全体で物の生産で3兆4670億円生産している、その生産をするためにどういうことが必要だったかというと、物質とエネルギーを1兆4910億円、それからサービスを5960億円、それで売り出された付加価値というのは何かというと、みなさんが働いてそれに給料などが払われるそういう付加価値ですが、要するにみなさんの所得になるようなもの、つまり3兆4670億円を生産して、40%がみなさんの付加価値となって43%が物を購入するという構造です。これが物の生産における構造。それに対して下側のサービス生産の場合はどうなっているかというと、山梨県は2兆1440億円生産しているんですが、物の投入には15%、サービスの投入に21%、生み出された付加価値は全体の64%という構造。なにかというと、物を生産するときには物とエネルギーを大量に使って、得られる付加価値は比較的少ない。だからといって、商業を盛んにしろといっているんではなくて、大事なことは高齢化社会に向けて、実は人的には非常に手薄になっているところがいっぱいあるわけです。つまりサービスとして生産する部分は非常にたくさんある。そういう物を考えて、山梨県の産業構造を変えていけば、ひょっとすると山梨県は持続可能な循環型社会を作れる可能性がある。これが基本的な考え方です。今日はそういう演説をするつもりじゃなくて、ものを見るときに、循環型社会を作るというときに、これまではどちらかというと、主婦の方が一生懸命やられているようにリサイクル、紙を集めてきて再生資源しますとか、そういうもののリサイクルだけが中心にリサイクル循環型社会が考えられてきたかもしれませんが、実はそれだけでは社会という、新しい循環型社会に移り変えられる、そういう努力が必要なんですが、全体構造として今のようなものの見方をして、始めて生き残るということで、今回は産官学ということで、官に入っていただきましたのは、ぜひ官の方はそういうものの見方も含めて新しい方向の新しい山梨、環境首都とおっしゃるなら、そういうものを目指していただきたいということで、私の話といたします。