パネルディスカッション


司会:

ただいまご紹介いただきました北村です。このパネルディスカッションの司会を進行させていただきます。それでは3人のパネリストの方々から講演をいただきまして、これから1時間弱パネルディスカッションを進めさせていただきます。まず3人のパネリストの方から言いもらしたこと、他のパネリストの話を聞いて思ったこと、感想とか提案を一言ずつお話しいただきまして、その後会場の皆様方と一緒に討議をしたいと考えておりますので、積極的なご発言をお願いしたいと思っております。それでは順番に石井さんから今までのところで言い残したこと、話を聞いて思ったことをお話しいただければと思います。

石井:

私が話したかったことがまだいくつかあるんですが、その中でもこのゼロエミッションの活動が今国母工業団地内の活動に限定されているということが私は不満なんですね。これが他の工業団地とか他の地域にもっと普及しなければいけない。どうしたらそれができるのかなということなんです。我々だけが全国的に注目されているのは私としてもうれしくないんですね。やはり山梨県全体がこういう取り組みにいかにこれから突き進んでいくかというところですね、この辺をぜひみんなで考えてみたいと思うんです。そのために実は一番大事なのは、みなさんのお手元に配った紙、「ゼロエミッションの実現のために」というのがあるんですが、やはり仕組みを確立していく中で、一番大事なのはみんなの意識が押し上げられていかないといけない。これは私ども各社がそういう物に取り組むということのなかで、例えばISO14000認証取得ということを通じて、そこで働く従業員一人一人にこの意識をきちっと浸透される教育、啓蒙活動をやらなければいけないんですね。そういうことがきちっとできるからこそ、工業団地内が全体にまとまったと私は思っているんです。そういうマインドウエアですね、いわゆる環境市民意識これをきちっと確立して、そして徹底した分別の仕組みを作りました、そういうことをみんなが気持ちよくやってもらう。そういう物に対して自分はこれでいいんだじゃなくて、みんながその気持ちになってもらうという、そういう心を育てることがまず大事なんですね。そういうこととか、ここに書いてある自作製品の活用も我々はやっているわけです。さっき言ったようにトイレットペーパーを我々のところへ戻して再生紙を使いましょうとか、ペットボトルで再生された紙袋を使いましょうなんてこともやっているわけですね。そういうことを通じて、みんなの意識が確立されなければいけない。そういうところからスタートがあると思うんですね。それにともなって、後はいろんなそういうことを実現するためのハードウエアとかソフトウエアがある。こういうものが工業団地以外のところで実施されて、そういうものが根付いて、そういうものからそれぞれの地域におけるゼロエミッション活動が推進していければいいなということでして、国母工業団地だけというのがあったとしたら、私は全然意味がない。もっと地域的は広がりが早く出てきて欲しいという気持ちです。以上です。

司会:

ありがとうございます。資料にマインドウエア、ハードウエア、ソフトウエア、この3者がうまく進んでいくと、地域全体に循環型社会ができ上がるというふうに考えておられる、ということです。続きまして、三井さんには行政の立場ということもありますが、個人的な立場でも結構ですので、一言お願いします。

三井:

先ほど時間がなくて十分なお話ができなかったんですが、やはり行政として目指すべきところは鈴木先生がおっしゃるような、実は先ほど先生のお話を聞いていて、まだ私自身十分理解できないところもあるんですが、お考えになっている意図は分かるつもりでいますが、ある意味では理想型に近い話になるわけですが、当面行政としてどこをどうしていくかという事、みなさん困っていることは事実ですから、少しでもそれをより良い方向へ持っていくということになりますと、現在におきましても市町村であるとか地域の団体であるとか、ボランティアの方も中にはおるわけですが、そういう人達が一生懸命、広い意味ではリサイクルという形の活動をされております。これが究極の話ではないにしても、やはりそういうところから手を着けていただくとことが一番大事なのかなと、石井さんの話にもありましたが、やはりそういう廃棄物を処理するということから始まって、最終的には資源として利用するというところまでいければいいわけですが、まず当面は不法投棄という問題も片方にあるわけですから、そういうことから考えると、とにかく自分たちの手で処理をしていただくということは、これはまず一番最初にやっていただくことかなということです。先ほどの話の中では、いわゆる生産をして、中間流通組織を通って消費者に渡るというところまでで終わったわけですが、問題は消費者がそれをどういう形で次の処理をするか、というところが現実論としまして、これから問題になるだろうと、それをゴミとして捨てるのか、あるいは少なくとも再資源化できるような方向へいくのかは、大きく違いがでてくると思います。実はその再資源部分につきましては、先ほどのリサイクル法に基づく7品目とか12品目という言い方をしておりますが、それだけでなくて、もっと基本的な部分の話もあるわけでして、そういうものを我々としてどのように整理をして、これからみなさんにお願いをしていくかというのが1点あるわけです。
 もう一つは今のお話にでましたが、やはり意識づけということで考えますと、いろんな手段を講じてみなさんにこうしてくださいというのも一つのやりかたであると思いますが、やはりもっと基本的な部分は、小さいうちからそういうものに関心をもっていただいて、ゴミとして処理するか、あるいは有効資源として使うかということを、しっかり子供のうちから身につけていく必要があるということになりますと、やはり幼いうちから小中学校という活用をながめますと、相当時間をかけて教育という形の中でしっかりと意識づけをしていただくのも一つの方向ではないかと、そんなことを感じています。

司会:

ありがとうございます。行政として究極の目標へ向けて、現在の問題点からどうもっていくかということと、子供の頃からの環境教育、そうしたものをきちっと取り組んでいく、または進めていくということが必要である、ということでした。それでは鈴木さんの方から一言お願いします。

鈴木:

今、三井局長が我々ミクロなというか、教育レベルの話では、教育担当者が別の話に話題を変えて申し訳ないのですが、一昨日、国母工業団地を対象にしたゼロエミッション事業にアプライしたという提言を出させていただいて、なぜそれができたのかということを話をさせていただきたいんですが、私が国母工業団地について一つ感心しているのは、実はあれが相当精度いいというか、きちっとした議論を1年間かけてやっているんですが、メーカーの方とも何度もデーターを重ねて、これなら大丈夫だろうというところまで詰めて、もちろんそんなことは報告書の中には書いてないんですが、何かというと、国母工業団地から出る廃棄物が、どういう種類の物がどのくらい出て、それの費用がどのくらいかかっているのかのデータが開示されているんです。我々理論的なそういう問題をどう処理したらいいのかという時の一番のポイントは何かというと、正確なデータがなければどういうふうに次に処理していったらいいか分からないわけです。これは大学の中で研究している人はたくさんいるわけですから、そこに正確なデータがまず開示できるかが、一つのポイントです。今回やはり国母工業団地さんの場合は、早いうちからそれができたということ、それで何とかしたい、それならばといって我々そういう研究をしてきたわけですが、なぜこの話をしているかというと、山梨県という中で先ほど申し上げたような意味で循環型社会を作ろうとしたら、三井局長さんがいる横で申し訳ないけれど、環境局だけが、出てきた汚れた水をきれいにするとか、汚れた大気をどうこうするなんていうレベルでは問題は解決できないと私は思います。県全体が縦割りの行政の弊害をなくして、今要するに山梨県の中でお金と物がどういうふうに動いていて、廃棄物がどのように出ているかというデータを把握できるかどうか、それが把握できれば、その次にそれなら今の段階でこういう方策が取れるんじゃないかという、次の手が打てるんですね。ところが結局、そういうものがほとんどといってないんです。これは別に山梨県だけがないんじゃないんです。世界中のいわゆる豊かさを追求した市場経済の国は、現在の経済の理論ではそういうデータを持ち合わせていないんです。つまり廃棄物が、つまりお金にならないデータというのはいっさい集計されないできちゃっているんです。全部お金にかかわる。それがいわゆる環境問題の一つの要因であるシャドーワークと呼ばれるような話に繋がっていくわけです。それは何かというと、今日は女性の方が半分近く来て下さっているので言っておきますと、環境問題がなぜこれほど深刻になるまで気がつかなかったかというと、結局家庭で出るゴミについて男の人がほとんど関心を示さなかった。なぜかというと、家庭でやっている家事はお金にならないから、家政婦が働くとお金になるのに、家庭で主婦が働いているとお金にならないという問題があるんです。これは岩井りつという学者がシャドーワークと称したわけですが、結局お金にかかわるものは非常に分析が進んでいるんです、現在の経済学は。ところがお金にかかわらないものはすっぽりとデータが抜け落ちている、しかもそれを縦割りで処理しますから、お互いにどうなっているか実態がつかめないという状況ですね。これは私は決して山梨県を攻めるつもりでいっているんじゃなくて、日本全体でもそうなんです。もし山梨がほんとうに環境首都を目指そうと、分かりませんが、知事が横にいたら確認したいんですが、ほんとうに環境首都を目指すんですか、それならばもうそのことが必要だということは分かっているわけですから、やるべきだと、環境局に任せる。環境科学研究所ができたということは、これは前進ですから、そのことは評価していいと思うんですが、21世紀にもし山梨が循環型社会を実現する、世界に先駆けて実現するんだったら、まずそのデータを正確に把握すること、その中でどうやって次のステップを見つけだすかということ、英知を絞るか、私はそれのスケールとしては小さいんですが、国母工業団地さんはそれが可能だと、そういうつもりで少なくとも取り組まれているということで、なぜ我々がまったくボランティアでああいう研究を続けてきたかというと、国母工業団地がそういう意欲をお持ちだったという事実なんです。これからそういうものがあれば、我々はやはり大学、つまり研究、教育に携わっている人間は、まさに新しい社会を作らなければいけないわけで、前例がないことをやるわけですから、全面的に協力するつもりはあるわけですが、そこまで一歩進めるかということが、実は山梨県に、山梨県だけではないんですが、要するに人類に課せられた課題だと思っております。