循環システム工学科では,さまざまな専門分野の研究者が,それぞれの研究分野の枠組みを超えた研究活動を行っています.

 JSコロキウム交通分科会
人文・社会・自然科学という異分野の知見の重ね合わせによる認識の深化,地域の具体的事例に基づく持続可能な社会の考察,高度に細分化された既存科学の限界を問い直すこれらの実践を通じて,「学問の社会的責任」を体現した新たな科学のあり方を追究する,このことを究極の目標に掲げた共同研究に取り組んでいます.現在は,分野横断的な特質とともに地域的課題としての性格をも兼ね備えていることから,甲府盆地の交通体系をテーマに選択し,以下のような研究を行なっています.

〔T〕概要

(1)現状説明編
ゲーム論,進化心理学,公共政策学,都市計画学,大気環境学,技術史学,エネルギー論,生態学,社会調査法,システム・シミュレーションなど多様なアプローチの相互連携を通じて,甲府盆地の交通体系が各種要因のどのような相互作用プロセスを経て「クルマあってこその暮らし」と形容される現在の姿となったのか,現状に改善の余地があるのか否か,あるとすればそれはどの程度に,どのような形で存在しているのか等々の解明を試みていま
す.

(2)具体的提案編
 現状説明編において得られた知見を土台に,また,政治学や地図情報システム,マルチ・エージェント・シミュレーションや経営学,交通工学や環境計画学などに基づく知見をも組み合わせつつ,地球温暖化やピーク・オイル,住民への交通権保障や交通事業の安定的経営,人口減社会の到来や土地利用の適正化など,さまざまな領域における交通に関わる諸課題の克服を可能とする,より望ましい交通体系を甲府盆地に実現するための具体的な方策
について検討しています.

〔U〕これまでの取り組み
2005年の4月から7月にかけて,交通工学の研究者や交通行政の担当者,交通事業者,交通問題をテーマとする市民活動団体のメンバーなど,交通に関わるさまざまな分野の専門家を招いて講演会を開催しました.

2005年9月には,路面電車の再生やバスマップの作成など,公共交通ネットワークの充実を通じたまちづくりで著名な福井市を訪問し,NPOや行政を対象としたヒアリング調査を実施しました.

2005年10月から2006年1月にかけて中間報告会を開催し,プロジェクト参加者が個々のアプローチに基づく研究の経過報告を行なうとともに,質疑応答・討論を通じて,研究内容の相互理解を深めるように努めました.

2006年4月から,各アプローチに関する中間報告会を継続するとともに,文理協力に基づく新たな教養教育の実践に向けた準備を開始しました.

2006年9月には富山・高岡を,2007年3月には岡山を訪問し,公共交通の活性化を通じたまちづくりに関する先駆的な取り組みについて調査しました.

2006年10月から2007年1月にかけて,「甲府盆地の理想的な交通体系を構想する」をテーマにした演習授業を行いました.
その一環として,都市計画の専門家やバス事業者を招いた講演会も行ないました.

2007年4月から,文理協力に基づく新たな教養科目として「持続可能な都市を構想する」および「人間活動と交通」の2科目を開講しています.

〔V〕今後の予定
多様な専門分野における知見の重ね合わせを通じた「持続可能な地域づくり」プロジェクトの第一弾として,超高齢化や人口減,資源エネルギー問題や地球環境問題の先鋭化,経済のグローバル化に伴う地域経済構造の変容などの諸課題の克服に向けて,甲府盆地の都市構造や公共交通ネットワークはどうあるべきかを探求する作業を開始します.


 21世紀COEプログラム「アジアモンスーン域流域総合水管理研究教育」
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